Black sweet Darling！《完》

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「いらっしゃいませー！！本格コーヒーはいかがですかーっ」


時刻は正午過ぎ。

ビル前の公園にワゴンを起き、パラソルを広げてスタンバイ。

ちょうどこの時間は近くに勤めている人がランチに出たり、公園で食べたりするから人通りが多い。

食後のコーヒーのタイミングとしては最適だ。


が、そんなに上手くいくわけもなく。


「コーヒーが500円？ちょっと高いかなぁ」

「ちょっと言ったら安く飲めるチェーンがあるからそっち行こうよ。」


なんて言う人が殆どで…

たまに買ってくれる人はいたものの、二時間経ってまだ五杯しか売れていない。


ヤバイな。
みんなコーヒーに対して味わいとか風味とか、求めていないと言う現実を叩きつけられる。

考えてみたら、毎日店に来てくれるお客様はそうじゃ無い人なのだ。


このままだと売上アップと言うよりみんなを忙しくしただけで終わってしまう。


「どうしよう…」


嫌味なくらい晴れた空を見上げて途方にくれる。