Black sweet Darling!《完》
「わぁ…」


目の前に広がる光景に、感嘆のため息が出た。

なんて綺麗なんだろう。


川の上のウッドデッキには落ち着いた雰囲気のソファとテーブルが並び、足元には優しい間接照明。

何よりも目を奪われたのは、川の向こう岸のビル群の夜景だ。

こんな位置から見たのは初めてだ。



「惚けてないで座れば?」


既に座ってる柳瀬さんの声に我に帰る。


「あ、はい、すみません。

…わ…」


座ると余計に、キラキラと夜景が眩しい。
川面に映る揺れる光がとっても綺麗だ。

〜♪

店内には静かにジャズのような音楽が流れ、こんな雰囲気のいい店、近くにいながら何で気付かなかったんだろうと悔しくなる。



「気に入ったか?ガキみたいな顔してるぞ、お前。」

ふっと静かに笑う柳瀬さんは、この空間にいるからかとっても色っぽく見えてしまう。


落ち着け。相手はあのムカつく男だ。


「ガキじゃありません!…でも、ありがとうございます。こんな所知りませんでした。」


発言はムカつくけど、ここを教えてくれたことは素直に嬉しいからそう言った。


柳瀬さんは一瞬固まって、どういたしましてと
またふっと笑った。

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