俺様Dr.に愛されすぎて
「あれ、藤谷さんまだ外回り行かないんですか?」
「はっ!そうだ、時間!!」
背後から声をかけた後輩に、はっと時間を思い出す。
そうだ、そろそろ外回り行かなくちゃ!
手帳を開いてスケジュールを見れば、今日の予定は都内の病院から当麻総合病院、そして千葉方面の病院を回るいつも通りの予定だ。
当麻総合病院、かぁ……。
真木先生とは、あのデートの日以来連絡もとっていないし、営業で行っても行きあえていない。
自分から連絡する勇気もないし、ていうか絶対動揺してうまく話せないだろうし。真木先生からも連絡もないし。
この前あんなふうに過ごしたせいか、余計恥ずかしいけど……今日は内科に行くし、真木先生とも顔合わせるよね。
あぁもう、緊張してきた。
けど、仕事は仕事!しっかり切り替える!
そう心に言い聞かせ、私は社用車に乗り外回りへと向かった。
繋いだ手を思い出すと、ドキドキしてしまう。
普通の顔、普通の顔……ってなんで今まで以上に意識をしてしまっているんだろう。
キスも、抱きしめることもされている。だけど、彼の思いと手の力強さが、これまで一番、真木先生を近くに深くに感じさせた。