俺様Dr.に愛されすぎて
「こんにちは、新和メディカルです」
それから数時間後、やってきた当麻総合病院で、私は内科のナースステーションへ声をかけた。
それに反応した宮脇さんから奥からこちらへと出てきた。
「藤谷さん、お疲れ様。今日も元気ね」
「元気だけが取り柄ですから!」
へへ、と笑って、資料を取り出す。そんな合間にも、真木先生がこないかなとつい辺りを見回してしまう。
そんな私の視線に気づいた宮脇さんは、「ふふ」と笑った。
「残念。真木先生ならいないのよ」
「え!?」
なっなんで!?
『真木先生』の名前に、思わず動揺しそうになるのをぐっとこらえて平常心を装う。
「お、お休みですか?」
「それが、今週に入ってから先生がひとり急遽短期で休職しちゃって。真木先生が外来と病棟掛け持ちで診てるのよね」
「掛け持ち?」
本来なら真木先生は今は外来専門。けれど、その休んだ先生の代わりに病棟で入院する患者さんも診て……大変だ。
もしかして、デートの日以来なにも連絡がないのはそのせい?
「大変なんですね」
「うち元々、病院の大きさに対して医師の数が合ってないのよねぇ」
そう話していると、廊下を歩いてくるひとりの姿が見えた。
目を向ければ、それは白衣を着た背の高い姿……噂をすればなんとやら、真木先生で、近づいてきた彼と不意に目が合った。