俺様Dr.に愛されすぎて





「えぇ!?藤谷さん担当外れちゃうの!?」



データ入力を終え、やってきた当麻総合病院で、担当交代の話を聞いた宮脇さんは大きな声をあげた。



「そうなんです、ようやく慣れてきたところだったんですけど……」

「寂しくなっちゃうわねぇ。けど出世するのはおめでたいことだしね!これからも頑張ってね!」



寂しそうにしながらも笑顔を見せて、私の背中をバシッと叩いた。



「新しい担当ってどんな子?」

「後輩の男の子です。爽やか系ですよ」

「やった!!」



宮脇さん、嬉しそうだなぁ……。

寂しさも一瞬で吹き飛ぶようないい笑顔でガッツポーズをする宮脇さんに、苦笑いがこぼれた。



「私ちょっと先生たちにご挨拶に回ってきますね」



ここの病院の先生たちは、ほとんどが私が担当についた頃からお世話になっている人たちだ。

毎週のように顔を合わせているから、中には娘のようにかわいがってくれている先生だっている。

担当変えとなればいきなり変更の話をするわけにもいかないし、事前に話はしていかなくては。

そう思い、先生たちのもとへ向かおうと院内を歩いていった。



もちろん、真木先生にも報告しなくちゃいけないよね。

寂しがってくれたり、するのかな。

いや、『ふーん』とかそっけなく言って終わってしまいそうな気もする。

好き、とかは言えるくせに変なところでひねくれる人だからなぁ。



彼の反応がうまく想像つかなくて、少し緊張してしまう。

とりあえず、まずは上の階から回って……。



そう考えながら、廊下を歩いてきた先……院内にあるカフェの方へなにげなく目を向けた。

すると目に入ったのは、カフェから出てきた白衣姿の真木先生。

その手にはコーヒーのカップを持っており、テイクアウトでコーヒーを買ったところなのだろうと察した。



< 123 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop