俺様Dr.に愛されすぎて
……気まずくて、目が見られない。
彼への気持ち、先ほどの黒川さんの言葉、その胸にあるかもしれない思い。
様々なものがぐるぐるとめぐって、言葉を詰まらせる。
『梓は、あなたを好きだと思い込んでるだけだと思うの』
『今、あなたがするべきことはなにか、わかるわよね?』
私が、今、するべきこと。
「藤谷?どうかしたのか?」
真木先生の声にふと我に返り、顔を上げる。
不意に合った目と目にたじろぎそうになるけれど、ぐっとこらえてその目を見た。
「……私、自分の気持ちに従います」
「え?」
あなたが、言ったこと。
大切なのは、私の気持ち。
自分で、決めるべきだと。
そう、だね。
だから私は、自分の気持ちに従うよ。
私の気持ちは
『私が今するべきこと』、をする。
「私、彼のこともう一度信じてみたいと思います」
言い切った私に、真木先生は驚き目を見開き、けれど一瞬で冷静な目つきを向けた。
「……それは、元カレと付き合う、ってことか?」
その問いかけに、頷くことも首を横に振ることもしない。
修二に対しての自分の気持ちは、まだわからない。
けれど、
「……すみません。仕事中なので、失礼します」
逃げるように歩き出そうとした私に、彼はガシッと腕を掴む。
「藤谷。待てよ」
「……離してください」
「藤谷、ちゃんとこっち向けって」
やだ、離して。
目なんて見たくない。
向き合いたくなんてない。
触れたくなんてない。
だって、だって。