俺様Dr.に愛されすぎて
12.雨の中で交わるこころ
『私、彼のこともう一度信じてみたいと思います』
そう、はっきりと真木先生に告げた日
自分で言ったくせに、私はあの後も涙が止まらなくて、どうしようもなくて、仕事にならなかった。
そしてそのまま、彼に仕事としての挨拶ひとつもできないまま、担当交代の日を迎えてしまった。
「藤谷さーん!」
あの日から、一週間が経った日のこと。
いつも通りオフィスで仕事をしている私を呼んだのは深田さんの明るい声だった。
「はい、この書類経理からです」
「ありがと」
書類を手渡す深田さんは、口元を緩ませにこにことし、なんだかご機嫌な様子だ。
「あれ、なにかいいことでもあった?」
それに気づいて問いかけると、彼女は『よくぞ聞いてくれました』と言わんばかりにニッと笑う。
「実は、この前の合コンで知り合った彼と付き合うことになったんですよ~」
「そうだったの?おめでとう」
「藤谷さんのおかげです!ありがとうございます!」
嬉しさを隠すことなく見せる彼女に、私もつられて笑う。
そういえば、この前の合コンでひとりの男性とだいぶ仲良くなったみたいだった。それからいろいろあってことが上手く運んだのだろう。
そっか、うまくいったならよかったなぁ。
どこか親のような気持ちになっていると、深田さんは「で?」と私に話題を振る。