俺様Dr.に愛されすぎて

するとその時、デスクの上のスマートフォンはヴー、と音を立てて光る。

見れば、画面には『着信・修二』の文字が表示された。



修二……なんだろう。

思えば、あれからなんとなく気分がのらなくて、修二と連絡もとっていない。

彼を信じてみる、なんて言葉は、完全に言い訳だったのだと気付いた。



けど無視もどうかな、と、私は通話ボタンを押す。



「……もしもし？」

『よう、沙織！今日飯行かねぇ？』



電話に出た途端聞こえてくる大きな声に、思わず少しスマートフォンを耳から離して話す。

挨拶すらする前に話題を切り出すところが、また修二らしい。



「悪いけど、今そういう気分じゃなくて……」

『気分じゃない、ってことは特に用があるわけじゃないんだな？よし、じゃあ行こう！俺がごちそうするし！品川にいい店知ってるから、19時に品川駅で！』



私が「ちょっと……」と言いかけたところで修二は電話を切ってしまう。



なんて強引な……。

断る隙すら与えられず、私は渋々その誘いをのむしかなかった。



隙を与えたら断られる、って思ってるのかな。

けどそれでもこうして誘って、修二は修二なりに、あの頃から変わろうとしてくれている。



……真木先生のことは忘れて、修二とのことを考えるべきなのかも。

私は私なりに、幸せになるために。