俺様Dr.に愛されすぎて
「真木先生の気持ちを信じるのが、怖かった。真木先生の好きなんて錯覚なのかもって、そんな気持ちを真に受けて真木先生の将来を邪魔しちゃダメだって、そう思って」
ぽつりぽつりと言葉をこぼし、少しずつ本音を伝える。
「だから、真木先生のことは忘れて、修二とやり直してみようと思ったんです。人は変われるって真木先生のおかげで知れたから。この気持ちも、彼も、変わるかもしれないって思って」
人は、変われる。
どんな言葉も信じられないと思っていたこの心が、あなたの言葉を信じたいと思えたように。
忘れたい、忘れよう、なかったことにしよう。
そう、繰り返せば変わっていくと思っていた。
「でも、ダメでした。……この気持ちは変わらなかった。なにをしても真木先生の顔が浮かんできて、消せなくて、気づいたらこんなに好きになっていたんです」
どんなに頭の中で繰り返しても、消えない。
むしろいくらでも、胸にあなたが溢れてくる。
苦しくて切なくて、思い知る。
並んで歩いて、話して
ごはんを食べて、触れて
同じ傘の下にいるのは、あなたがいい。
気づいたら、こんなにも、真木先生へ愛を感じていた。
「あなたの『好き』を、信じてもいいですか?」
傷つくのは怖い
信じることも怖い
だけど、信じてもいいですか
ううん、だからこそ信じてもいいですか
全て覚悟して、あなたのことを。
彼の目を見て投げかけた問いに、真木先生も真っ直ぐに私を見つめ返す。
「もちろん」
そして、そう頷き笑って、触れるだけのやさしいキスをした。
雨のせいで人が引いた静かな夜の街。
パラパラと続く雨音の下、交わすキスは、あの日と同じ唇。
だけど、あの日以上に深い愛情が互いの中を流れていく。
信じよう
だから、信じていて
足を止めて、遠回りをして、ようやく見つけた気持ちの答え。
あなたが好きという、こころ