俺様Dr.に愛されすぎて
ありえない……ありえないでしょ。
なんで真木先生が私にキスなんて?どうして?
しかも、『軽くない』ってどういう意味?
もしかして、もしかしてもしかして、……真木先生、私のことが好き、とか?
『好き』、心の中で呟いたひと言をかき消すように、私は自分の頬を両手でパン!と叩く。
いや。思い上がるな、自分。
一瞬考えたその微かな可能性が、あまりにも思い上がりすぎていてそんな自分を叱る。
大きな病院の医師で、見た目もいい。女性にだって当然モテるから相手なんて選びたい放題だろう。
そんな彼が私に好意なんて抱くわけがない。
そう、そんなのありえない。
わかっていても、ドキドキと心臓はうるさく音を立てるけれど。
「……営業、行かなくちゃ」
深く息を吐き出して、私は荷物をまとめて会社を出た。