俺様Dr.に愛されすぎて
「……そういえば、話があるんだけど」
行為を終え、ふたり裸のままベッドでシーツにくるまっていると、唐突に真木先生が切り出した。
「なんですか?」
「実は今うちの病院人手不足でさ、その都合で来週からまた外来と病棟の患者両方診ることになったんだ」
それは、以前にもあったかけもちの状態になるということなのだろう。
そういえば永野くんがこの前『当麻総合病院、退職や休職の先生が続いてて……』と話していた記憶がある。
「だから少しの間、会える時間も減るかもしれないんだけど……」
「それは構わないですけど、真木先生は大丈夫なんですか?休みとかとれます?」
以前のその時の疲れっぷりを思い出すと、ちょっと心配だ。
「多少はな。一ヶ月くらいすれば新しい医師もくるらしいから、少しの我慢だ」
彼はそう言って、私の額にちゅ、とキスを落とす。
「忙しくても出来る限り会える時間も作るから、浮気するなよ」
「しませんよ。真木先生こそ、美人看護師に鼻の下伸ばしてないでくださいよ!」
「それはどうかな」
えぇ!?
冗談混じりに言う彼に、ぶすっと口をとがらせると、彼はおかしそうに笑った。
浮気なんてできるわけないじゃんか。
こんなに真木先生のことが好きで、彼のことしか見えていないのに。
でも、大丈夫。
少し忙しくなるだけ、少し会える時間が減るだけ。
それくらい我慢できる、なんてことない。
だって、会えなくたって気持ちはわかってる。伝わりあっているから。
……そう思っていた、が。
その考えが甘かったことに気づくのは、それから一ヶ月後のことだった。