俺様Dr.に愛されすぎて
「藤谷さーん、今日……って、あれ?」
それから一ヶ月後の、10月半ば。
営業部のオフィスにある自分のデスクにあるのは、ひとりがっくりと伏せている私の姿だった。
それを見て、後輩である永野くんは何事かと首をかしげた。
「どうしたんですか?なにかありました?」
「いや……別に……」
「あ、もしかして真木先生としばらく会えてなくて今日もデートなしになったとか?」
うっ!!
爽やかな笑顔で容赦なく言う彼の言葉が、グサリと胸に突き刺さる。
そう。あれ以来私と真木先生は、まともに会えていない。
それどころか、電話も、無料通信アプリでのメッセージのやりとりすらもまともにない。
メッセージを送ったところで、既読がつくのなんて翌日だったりもするし……。
「最近、当麻総合病院行くたびに真木先生忙しそうですもんね。大変だ」
そう。真木先生自身が思っていたよりも、忙しい日々が続いてしまっているようだ。
昼間は外来、その後は病棟を診て夜勤もあり、土日は救急外来……。
かろうじて取れる休日は寝て終わってしまうようで、疲れているだろう彼に『それでも会いたい』とは言えない。
おまけに一ヶ月後には来ると言っていた新しい医師も予定より遅れているようで、いつまでこの状況が続くのやら、と余計疲れているだろうようだ。
一応週に一度ほど、いつものように会う約束はするのだけれど、『忙しくてあがれそうにない』、『患者の容体が変わって行けない』と度々キャンセルの連絡が続いている。
今日も仕事の後に会う約束をしていたのだけれど……つい先ほど、【夜勤になった、ごめん】とメッセージが来たばかりだ。
命を預かる仕事だし、仕方ない。そう諦めても、落ち込まないわけがない。