俺様Dr.に愛されすぎて



「藤谷さんたち、もうどれくらい会えてないんですか?」

「えーと、もう一ヶ月経つかな……」



私の答えに、永野くんは「えっ!」と驚きを見せる。



「それまずくないですか?営業行ってる分俺の方が会ってますよ!もしかして、そのまま自然消滅しちゃったりして!」



心配しているのだろう、けれどなんとも無神経なその言葉にジロリと睨むと、彼は「す、すみません」と慌てて口を塞いだ。

永野くん、いい子だけど天然だから思わぬところで爆弾発言するんだよね……!



……けど確かに、会えないし連絡もなかなかとれないし、では笑い事ではない。

せめて近くに住んでいれば、家のことを手伝ったりもできるのに。



本当に、このまま自然消滅しちゃったらどうしよう。

寂しさと不安が、日を増すごとに積もり積もっていく。



「……はぁ、一応返事はしておこう」



【わかりました。無理しないでくださいね】、の文に笑えていないけれど笑顔の絵文字をつけて……。

送信ボタンをタップすると、珍しく早々に返信がきた。



【本当に悪い。この埋め合わせは21日にするから空けておけよ】



21日……?

カレンダーを見れば、その日は日曜日。

なにかあったっけ、と考えて、自分の誕生日であることを思い出した。



って、私の誕生日知っていたんだ……しかもその日だけは、彼も空けてくれているということ?

嬉しい。会えない寂しさも、一気に吹き飛んでしまった。

スマートフォンを手にしたまま顔をにやけさせる私に、今度は永野くんはギョッとする。


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