俺様Dr.に愛されすぎて
ありえない、そう何度も心の中で繰り返すけれど、だとしたらあの行為の意味がわからない。
なんで、キスなんてしたんだろ……。
って、またあれこれ考えると思い出して余計ドキドキしてしまう。
平常心、平常心……普通の顔で、なんてことない様子で振る舞うんだ。
よし、落ち着け。忘れろ、私。
そう心臓を落ち着けながら、やってきた当麻総合病院で私は裏口から院内へ入って行った。
はっ!自分の気持ちを宥めることに必死で、借りた傘車に忘れてきた!
いや、でも傘返したら嫌でもこの前の話題につながるだろうし……。
あぁ、もう、やっぱり普通の顔なんて無理……!
内科の廊下の端でひとり頭を抱えてしまう。
「真木先生ぇ~、待って~」
すると、聞こえてきたのは彼の名を呼ぶ甘い声。
思わず目を向けると、そこにはいつも通り白衣と青いスクラブに身を包んだ真木先生の姿がある。
その隣には、体を寄せ歩く美人な若い看護師がいた。