俺様Dr.に愛されすぎて
3.密室は甘く
真木先生と初めて会ったのは、2年前の春のことだった。
入社3年目で、仕事にも慣れ営業マンとして成績も伸ばし始めていた私が、退職する先輩から引き継いだ担当先のひとつが当麻総合病院だった。
『初めまして、内科医の真木です』
そう、初めて挨拶を交わした時の印象は、“綺麗な人”。
顔立ち、雰囲気、目の色。
ひとつひとつが美しくて、目が惹かれた。
『えーと……新しい担当の、ふじたに、さん?』
『ふじや、です』
『ふじや、ね。藤谷、沙織か』
手渡した名刺を見ながら、彼が呼んだ名前。
そのたったひと言に、どうしてか胸が微かに音を立てたのを覚えている。