俺様Dr.に愛されすぎて




空に太陽が輝く、5月頭のある日。

フロア端にある静かな会議室には、パチン、パチンとひたすらホチキスをとめる音が響いていた。



「あーもう、終わらないー!!」



叫びながらデスクに伏せる私の横には、作りたての冊子が数十冊と山になっている。

そんな私と向かい合うように座るのは、販売企画部に所属する後輩社員の女の子・深田さんだ。



「藤谷さん、すみません~。私だけじゃどうしても終わらなくて」

「いや、悪いのはこんなに大量のパンフレットを明日までに作れなんていきなり言う上司だから……」



長いまつ毛を少し濡らし半泣きの彼女に、私は一度伏せた体を起こし、再びホチキスを手に取る。



今行っている作業は、取引先向けの商品紹介のパンフレット作り。

本来ならば販売企画部の仕事であり、営業部である私の仕事ではないものだ。



けれど、突然大量のリーフレットを作成するよう命じられた深田さんは、間に合わないことが目に見えていることから、ちょうど手が空いていた私に泣きついてきたのだった。



外回りに行くまでの間、という約束で作業を手伝っているわけだけれど、おかげで私もお昼ご飯抜きだ。



紙をまとめ、パチンパチンと綴じていく。

それを繰り返す中、深田さんが疲れ気味に口を開いた。


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