俺様Dr.に愛されすぎて
この前、真木先生とケーキを食べた時のこと。
彼に問いかけられて、思った。
私は真木先生を、どう思っているんだろう。
これまで、本気にしちゃいけないとか、どうせ冗談だとか、現状を否定するばかりで自分の気持ちはどうなのかと考えたことなんてなかった。
もしも。もしも、万が一、その言葉が本気だったとしたら。
私は、嬉しい?困る?嫌だ?
触れられるとときめくこの胸は、浮かれているだけなのか。それとも、それ以上の気持ちからなのか。
……全然、わからないや。
否定するばかりで、その気持ちと向き合っていなかったのだと今更気付いた。
「……はぁ」
そんなモヤモヤとした気持ちを抱えたまま、当麻総合病院の駐車場に車を止める頃には、時刻はすでに16時を回っていた。
今日はここが終われば外回り終わりだ。真木先生に会うのはなんだか気恥ずかしいけど……。
けど行かなければと、黒いジャケットと鞄を手に車を降りる。
そして裏口から入り3階の内科のフロアを歩いていると、角を曲がったところで出くわした看護師の男性とぶつかってしまった。
「わっ!」
「あっ!」
ドンッとぶつかりよろけたところに、彼が持っていたバケツの中の水が大きく揺れる。
そしてそれはこちらへバシャッと勢いよくかかると、私の顔と上半身をびっしょりと濡らした。