俺様Dr.に愛されすぎて
「す、すみません!」
「いえ、こちらこそ……」
看護師の彼の大きな声に、周囲の人々は何事かとざわめく。
「あら、藤谷さん!どうしたの!?」
それは当然、近くにいた宮脇さんの耳にも聞こえていたらしく、驚いた顔で駆けつけてきた。
あーあ……頭からびしょ濡れ。
これのどこが幸せな日……?ていうか、ラッキーアイテムは水なんじゃないの。
占いに騙された、と悔しく思う。
「本当すみません、よそ見してて……」
言いながら、男性看護師は近くにあったハンドタオルを慌てて手に取り、特に濡れた私の肩をポンポンと拭う。
するとなにかに気付いたように私の胸元へ視線をとめた。
その視線の先には、濡れて肌に張り付くブラウスと、うっすら透けるキャミソール。
たかがキャミソール、と思いながらもまじまじと見られれば不快だ。それとなく手で隠そうとした、その時。
突然私の肩に触れていた手が、背後から伸ばされた手によって引き離された。
「へ……?」
いきなり、誰?
そう驚き振り向くと、そこにいたのは真木先生で、その手が彼のものだと気付いた。
「真木、先生?」
「藤谷、こっちにタオルあるから来い」
「えっ?あの、わっ」
戸惑ううちに真木先生は私の肩を抱き歩く。ちら、と一瞬、男性看護師に鋭い目を向けながら。