俺様Dr.に愛されすぎて
「あの、真木先生?あんまり近づくと濡れちゃいますよ」
私の言葉にも、彼は答えることなくずんずんと歩いていく。大きな手に肩を包まれ、私は連れられるがままだ。
そして連れられてきたのは、先日も来た真木先生たちの医局。
部屋に入ると、真木先生は棚からタオルを取り出してそれを私に手渡す。
「大丈夫か?この後他の病院回るのか?」
「いえ、あとは会社に戻るだけで」
「そうか、ならまだよかったな」
話しながらも、彼はこちらを見ないように顔を背けたまま。椅子の背もたれにかけてあった黒いパーカーを手に取ると私に差し出した。
「俺ので悪いけど、着て。濡れた状態よりはマシだろうから」
「えっ、でも……」
「いいから」
借りていいのだろうか、と一瞬迷うけれど、差し出された服に折れたように受け取った。
見ないようにとこちらに背中を向ける彼に、私も背中を向けると、濡れた体や髪をタオルで拭く。
そして、ワイシャツを脱ぐとキャミソールの上にパーカーを着てファスナーを鎖骨のあたりまであげた。
サイズ、ぶかぶかだ。
手まですっぽり隠れてしまう袖丈と、まるでワンピースのようにお尻まで覆う裾丈。
それらの大きさから、彼と自分の体格差を知る。