俺様Dr.に愛されすぎて
5.胸の奥で芽生えたのは
『そういうところが眩しくて、好きだよ』
そう言ってくれた彼の声色は真剣で、とてもじゃないけれど、嘘や軽いものとは思えなかった。
問いかけひとつにもきちんと答えてくれる。
そんな彼の気持ちを、少しくらいなら本気にしてみてもいいのかな、なんて。
少しずつ、少しずつ。心は彼へと揺らいで行く。
とある火曜日。
昼休みのオフィスで、私はひとりデスクでスマートフォンを手にひとり考え込んでいた。
その手元の画面には、『真木梓』の名前と、携帯番号が並ぶ。
……どうしよう。
番号を教えてもらったはいいけれど、あれから数日が経っても今だにどうにもできない自分がいる。
だって、なんの用事もなく電話なんて出来ないし、したところでなんて言えばいいかもわからないし……。
『どんな用件でも、嬉しい』
そう言ってくれてはいたけれど……うーん。
どうしよう、と、とりあえずスマートフォンに登録した彼の番号とにらめっこをする日々が続いているのだ。