俺様Dr.に愛されすぎて
プルルルル……と少しの呼び出し音のあと、プツ、と電話をとる音がした。
『もしもし?』
耳元に響く低い声に、胸がドキッと跳ねる。
その声に、隣にいる彼女も会話を聞くように、スマートフォンに耳を近づけた。
「あの……藤谷、ですけど」
『藤谷?……藤谷!?』
まさか本当に私が電話をするとは思わなかったのだろう。電話の向こうでは、ガタンッ、という音と『あちっ!』という声が響く。
……驚いて席を立って、飲んでたコーヒー倒したな……。
なにもそこまで驚かなくても、と思いながら珍しく動揺する彼を思い浮かべた。
「大丈夫ですか?」
『あ、あぁ……いや、本当に連絡くれるとは思わなくて。驚いた。で、どうした?』
動揺しながらも、私が『声が聞きたくて』なんて理由で電話してくるとは思っていないのだろう。
早速用件をたずねる彼に、私は「それが……」と口を開く。
「えーと、うちの会社の後輩の要望なんですけど……合コンを、しませんか、と」
『は?』
ああ、想像通りの反応。
いきなりなにをいっているのかというその声に、私は話を続ける。