俺様Dr.に愛されすぎて
「どうしても合コンがしたい、というので、その、真木先生の職場でフリーの方がいるならぜひ紹介していただけないかなと……」
『あー……そういうことか』
電話の向こうの声が明らかに落胆しているのがわかった。
いつもはすました顔のせいか、どんな会話もなんてことないふうに聞こえる。
けれど、こうして声だけ聞くと結構わかりやすい人なのかもしれない。
『……お前さぁ、どんな用件でも嬉しいとは言ったけど。合コンの誘いって』
「わっ私だって可愛い後輩の頼みで仕方なく……!」
彼の呆れたような声に、隣の彼女は『お願いします!』というように手を合わせている。
それを見ると、ここでは引けない。
すると真木先生は、『……はぁ』と呆れたようなため息をついた。
『わかったよ、仕方ない。何人集めればいい?』
「えっ!あ、えっと……」
真木先生の声を聞いていた深田さんは、『何人?』と聞こうとした私の言葉を遮り、口を挟む。
「4人です!私と、フリーの子ふたりと藤谷さんも入れて!」
「って、私も!?なんで!?」
「だって藤谷さんも長いこと彼氏いないじゃないですか!彼氏いない歴5年とかやばいですよー」
電話口でギャーギャーと騒ぐ私と彼女に、またも聞こえる『……はぁ』という溜息から、真木先生がやかましそうに眉間にシワを寄せているのが想像ついた。