俺様Dr.に愛されすぎて
彼は、真木梓といってこの病院の内科医だ。
年齢は私の5つ上の32歳。顔はハーフのようなイケメンで、身長も高い、医師としての評判もよくどんな女性にも親切。
そんな彼だから、看護師さんを始め患者さんたちにもモテる。非常にモテる。
院内を少し歩くだけで、度々キャーキャーと黄色い声を浴びせられているのをよく見る。
本人は自分がモテるとわかっているのか、無自覚なのか、いつも余裕のある笑顔だ。
それでいて取引先の営業という立場の私にすらも、平気で触れたり、軽々しく褒め言葉を口にする。
そんな男からの『かわいい』なんて言葉、真に受けるわけながない。
廊下の先をちら、と伺うと、長い廊下の先を看護師さんと話しながら歩く真木先生がいる。
彼はなにげなくこちらを見ると私を見て、『またな』とでも言いたげに微笑んで手を振った。
こちらに向けられた小さな笑みに、胸は今度こそ確かにドキリと音を立てた。
って、なにときめいてるんだか!
これだから彼氏いない歴5年の女は!ちょっと親しげにされただけでときめくなんて!
心の中で自分に対しキツく叱ると、仕事を再開させようと気を取り直す。
けれど、宮脇さんをはじめとした看護師さんたちはニヤニヤとあやしげな笑みでこちらを見ていた。