俺様Dr.に愛されすぎて
「それで思い知ったんです。本気で思っていないからこそ、簡単に言葉にできるって。だからこそ、『好き』とか簡単に口にする人が信じられない」
言葉は、口にするたび軽くなる。
重みをなくし、あふれるほどに意味をなくす。
だからこそ、あなたの言葉が信じられなかった。
すると真木先生は、空いている左手を私の右頬にそっと添える。
まっすぐに見つめるその目を見つめ返すと、真剣な熱を感じた。
「俺は、どんな言葉も声にするたび、伝えるたび、重みを増すと思ってる。それに、『好き』って言うのは簡単なことじゃない」
「え……?」
「本気で思ってる好きだって気持ちを伝えることは、怖い。勇気がいるんだよ」
本気で思っている気持ちは、伝えるのに勇気がいる。
「けど、胸の内に留めておけないくらい、好きって気持ちがあふれるんだ」
拒まれたらどうしよう。
嫌われたら、いやだ。
そんな恐れを抱きながらも、伝えずにはいられないほど。胸にあふれる気持ち。
真木先生は、それを、ひたすらに伝え続けてくれている?
何度だって、私に。
それに応えるように、頬に触れる手に私もそっと手を添えた。