俺様Dr.に愛されすぎて
「すみません、ご迷惑をおかけして……」
「いいのよ。私たちも珍しいもの見られたしね」
「へ?」
珍しい、もの?
それって、と問いかけるように首をかしげると、宮脇さんはおかしそうににやけながら言う。
「藤谷さんが倒れた瞬間、騒ぎ聞いた真木先生がすっごい勢いで駆けつけてね。お姫様だっこでここまで運んだのよ~。まるで王子様みたいだったわー!」
真木先生が……?
駆けつけて、抱き上げて、運んでくれた。
じゃあ、さっきのは夢じゃなかったんだ。
抱き上げてくれた彼の腕に感じた安心感を思い出し、胸がドキ、と音を立てた。
って、私重くなかったかな!?
熱にうなされて変な寝言とか言ってなかったかな!?
あぁ、いろいろ不安になってきた!
ていうかみんなの前でお姫様だっこって……!
不安やら恥ずかしさやらでいっぱいになる頭を抱えてしまう。
「それに、あの時の真木先生の顔も藤谷さんに見せてあげたかったわ」
「真木先生の顔……?」
「これまで見たことないような剣幕で駆けつけてきて、熱だって判明したらちょっと安心したのか、とっても優しい顔で藤谷さんのこと見つめてたの。真木先生もあんな表情見せるんだって、皆ドキドキしちゃったわよー!」
一応病人である私に、宮脇さんはお構いなしに肩をバシバシと叩いた。