俺様Dr.に愛されすぎて
「だから、俺にうつせよ」
囁く言葉に、ようやく『うつす』の意味を知る。
「え?あの、けど」
「……いいから」
戸惑ううちに顔は近づき、真木先生はそっと唇を重ねる。
一度触れて、離れて、再び重なる唇は吸い付くようにキスをした。
さらには唇の隙間から入り込む舌が、私の舌に絡みつき、口内をじっくりとまさぐる。
風邪も、熱も、全てを奪い取るようなキス。
その行為に愛情があることを示すかのように、彼は右手で私の頭を抱き寄せる。
「ん……真木、せんせ……」
吐息を漏らしながら呼んだ名前に、さらに力が込められる手。
それはまるで、離さない、と伝えるようだ。
風邪をうつせ、なんて、本当に風邪ひいたらどうするの。
医者が風邪ひいたら、大変じゃんか。
ダメだよ、こんなの。
そう思うのに。
ずるい。こんな、深いキスされたら、拒めない。
呼吸ができなくて、頭がまたボーッとしてしまう。
体の中が真木先生の香りでいっぱいになって、いっそう熱が上がりそうだよ。
長い時間をかけて交わしたキス。
離れた互いの唇からは、「はぁ……」と熱い息が漏れた。