俺様Dr.に愛されすぎて
8.空の下で花のように
高熱の中、交わしたキスは、これまでで一番熱く深いキスだった。
唇が触れるだけのものとは違う
よりいっそう、彼を感じるようなキス。
「おぉ、藤谷!体調はもういいのか?」
熱を出して当麻総合病院で倒れた日から、金土日と日をあけて迎えた、月曜日のオフィス。
そこには、いつも通りの顔で資料を抱える私の姿があった。
それを見つけた部長の明るい声が響く。
「はい、先日はすみませんでした。いろんな方にご迷惑をおかけして……」
そう、先日当麻総合病院で倒れた私は、真木先生に送ってもらって帰宅後、翌日も大事をとって休ませてもらった。
それから土日もしっかり休み、今では熱もすっかり下がり元気になった。
けれどあの日、仕事は途中だったし、社用車は病院に置きっ放しになってしまい……その事後処理などを部長を始め他の営業部のみんながおこなってくれたのだという。
そのことを今朝女性社員から聞いて、いきあう営業部の男性社員ひとりひとりにお礼を言って回っているのだ。
それは部長にも同様に、というよりもいっそう、深々と頭を下げてお礼を言った。
「いやいや、むしろ倒れたのが病院内でよかったな!」
部長はあははと笑うと、『気にするな』というように私の肩を叩く。
こういう時に叱りつけたりしない、部長の優しさが好きだ。
そう感じていると、部長は突然私の肩を抱き顔を近づけ、内緒話をするように声を潜めた。