俺様Dr.に愛されすぎて



「あはは、そりゃあ自分より営業成績のいい女と付き合おうなんて思わないよなぁ。色仕掛けで営業してるんだろ、なんて疑えないくらい色気もないし」

「なっ……!」



さらに失礼な……!

けらけらと笑う先輩に、営業部の男性たちは笑うこともしないが否定もしない。

部長だけは「そりゃそうか!」とお腹を抱えて笑っているけれど。



うちの社員は揃いも揃って、なんてデリカシーのない人たちなの!

彼氏がいない、独身、色気なし、度々話のネタにされることから冗談だとはわかっているけれど、わかっていても腹立たしい。



ふん!と鼻息荒くデータ入力を終えると、私は外回りに行こうと席を立つ。



「あ、藤谷これから千葉方面に外回り行くだろ?ついでに当麻総合病院寄って、事務局に書類置いてきてくれ」



ようやく笑いがおさまったらしい部長は、まだ少し息苦しそうにしながら私に封筒を渡す。



「えー……郵送すればいいじゃないですか」

「ついでだしいいだろ。急ぎのものなんだよ」



確かに、今日の営業先は市川や浦安などの千葉県方面だ。葛西にある当麻総合病院もついでと言えばついでだけど……まぁ、仕方ない。

渋々封筒を受け取り、私はジャケットとバッグを手に会社を出た。



ったく、皆してバカにして……悪かったですね!結婚の気配がないどころか、彼氏すらいなくて!しかも男性たちに拒否されるくらいかわいげもなくて!

悔しい。もっと営業成績上げて、営業部全員をギャフンと言わせてやるんだから!



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