俺様Dr.に愛されすぎて
「で?その真木先生とやらに体の隅々まで診察してもらったのか?」
「……部長、セクハラですよ」
「そんな言い方するなって~。教えろよ、イケメン内科医にどんな診察されたんだ?ん?」
って、そういう話がしたかっただけか!
またも前言撤回、というように、私は部長の腕を引き離し距離をとる。
「いやー、それにしても電話口でもかっこよかったぞ。真木先生」
「え?」
「藤谷が倒れたから寝かせるって話のあと、俺が迎えに行くって言ったんだが、『俺が責任持って送り届けます』って言い切ってさぁ。いやー、かっこいいな~」
ニヤニヤと笑いながらひやかす部長に、「もう!うるさい!」と私は部屋を出た。
みんなして私と真木先生のことひやかして……!
けど、先日真木先生は本当に家まできちんと送り届けてくれた。
車の中でも『家に着くまで寝てていいから』と気遣ってくれて……本当に、優しい人だと思った。
「……お礼の電話とか、するべきかな」
散々お世話にもなったし、体調がよくなったって連絡くらいはするべきかも。
いや、でももう9時すぎてるから診察時間だったら悪いし、夜勤明けで寝たところかも……。
ていうか、本当に私の風邪がうつっていたらどうしよう。
うーん、と悩んでしまうけれど、ひとり悩み続けても仕方がない。とりあえず電話してみよう。
観念して、私はスマートフォンを取り出すと真木先生へ電話をかけた。