それでもいつか、貴方の隣に。
 「早いね……」


 「あ……丁度、そこまで来てたんです。……メール、読みました」



 私がそう言うと、先輩は、一瞬だけ微笑んだ。


 それから私の方を向いて、背筋をピシッと伸ばすような動きをする。



 「朱音ちゃん。一つ、報告があります……」



 ああ、やっぱり。


 昨日のことだ、とすぐにわかる。


 もう、おめでとうと言う準備はできていた。



 「今日はずっと、気持ちを落ち着かせるので手一杯で、なかなか言えなかったんだけどね……」



 何も言わずに、先輩の言葉を待った。


 次の言葉を聞いたとき、思いきり笑って、先輩の幸せを祝おう。


 __そう思った、その時。



 「……僕、フラれちゃいました」



 用意していたはずの笑顔が、そこで凍りつくような感覚がした。
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