それでもいつか、貴方の隣に。
 「私にも、たくさんアドバイスしてくれたじゃないですか……!」



 肩に、ポタッと何かが落ちる感覚がした。



 「ありがとうっ……」



 枯れてしまうような、細い声。


 先輩が私のベストの裾を少しだけ掴んだ。


 溢れるまま、だけど声を殺して泣いてくれた。



 「先輩__」



 ……好きです。


 その想いは、心の中にそっとしまう。


 たぶん先輩は、フラれても、まだその人のことが好きだ。


 それでも、いつか先輩の隣に立つことができたら。


 そう願う気持ちをおさえて、私は上を向いた。


 胸が詰まって、ほんの少し、苦しい。


 吹奏楽部の音色、野球部のかけ声。


 下駄箱、二人だけの空間に、放課後のチャイムが響いていた。
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