あなたと私の関係





結局最後の最後でアドリブをかます形になってしまったわけだけど、圭吾先輩のフォローで何とか丸く収まって。



たくさんの拍手に包まれて私は最初で最後の大舞台を終えることができた。圭吾先輩には感謝してもしきれないや。




「でも、本当にありがとうね。やっぱり彩羽ちゃんにやってもらって正解だった」



「私こそ、貴重な経験をさせていただいてありがとうございました!」





貴重な貴重な経験。




私の初恋を照らしてくれたのは、スポットライト。





きっとこの日は、一生忘れられない。






雨宮さんを好きだと、気付いた日。






「彩羽おかえり〜!」



「久世さんお疲れ様っ」




衣装から再びクラスTシャツに着替え、模擬店に戻ると美月ともう一人の子が迎えてくれて。




「あれ、他のみんなは?」




「お昼のピークも過ぎてめちゃくちゃ暇になったから休憩出してあげたんだよ」




「そうなんだ。ありがとう、私変わるから2人も言っておいでよ!」




「え、彩羽は?一人で大丈夫?」




「大丈夫!ストックいっぱい作っとくし、次のシフトメンバーがくるまで1時間もないしっ」




忙しい時間に大穴開けたんだから、これくらいはしないとね。





私は美月たちを送り出し、ひたすらたこ焼きをくるくると焼いていく。




確かに先に沢山焼いて置いておけばお客さんが来てもすぐに出せるし暇だなぁ。






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