あなたと私の関係
私の手を包み込んだままの柏木くんの手をピシャリと叩き落とした雨宮さんの声色は、心なしかさっきより曇っているように思えた。
「こいつは俺の遠い親戚の娘だ。今日はたまたま連れてきただけ。名前なんて聞いてももう会うこともないだろう」
「…ガード硬いなぁ。お父さんみたいですよ」
………あれ?
もしかしてもしかしなくても、この2人ってめちゃくちゃ仲悪い……?
辺り一帯に漂うピリピリした空気に自然と体が強ばって、静かに火花を散らす二人の間であわあわしていると、カメラマンさんの声。
「柏木くーーん!お願いしまーす!」
「あ、呼ばれた」
立ち上がった柏木くんはまたね、と私に手を振ってカメラマンさんの元へ。
「……なに浮かれている」
「え?」
「勘違いするなよ。あいつは誰にでもあんな感じだからな」