あなたと私の関係
「ねぇきみ、こんな時間にどうしたの?高校生?」
「え、あの」
「そんな大荷物でどこいくの?まさか、家出とか?」
キャリーバッグを引いていた私の左手が、見ず知らずの金髪男に掴まれている。
「行くとこないんならさぁ、俺と遊ばない?ていうか、これから友達と合流するんだけど一緒にどう?」
「いや、私ちょっと」
「そんな事言わずにさぁ。いいじゃん、いこ!」
「きゃっ!?」
ぐいっと手を引かれ、無理やり方向転換させられる。
なにこれ、補導される方がマシなんですけど!?
「きみ可愛いね。いくつ?ちなみに俺は22なんだけど」
いやいやいや!!!聞いてませんっ!
「私、本当に帰るんで離してくださいっ」
「大丈夫だって!絶対楽しいし」
振り払おうとしてもびくともしない大きな手。
ヘラヘラと笑ってるくせに力ばっかり強くて、逃げられない。
「ちょっと、ほんとに…っ」
こわい、こわい。
こんなナンパみたいなの初めてで、対処の仕方も逃げ方も分かんないよ。
手首痛いし、どんどん変な道入っていくし、絶対やばい。
叫ぼうにも怖くて声が出ない。
「だ、だれか…っ」