あなたと私の関係
02 トラウマと、手料理と
「おいガキ。お前明日は何時に起きる」
再びタワーマンションの最上階に帰ってきた私。
今度こそ荷物を整理しようとキャリーバッグをひっくり返していると、またしてもノックなしで雨宮さんが部屋に入ってきた。
「明日は学校があるので、6時半には起きて朝ごはんを作る予定ですけど」
「そうか。ならその頃起こせ。俺も仕事に行く」
「わかりました。では雨宮さんの朝ごはんも用意しておきますね。パン派ですか?ご飯派ですか?それとも軽くヨーグルトとか…」
「いや、飯はいい。昼も夜も、俺の分はいらない」
「え?」
「家政婦をしろとは言ったが、飯はいらない。どこかで済ますか買ってくるから、気にするな」
「でも、外食や買い弁ばかりだと栄養も偏りますし…」
「いいと言っている。余計な事はするなよ、わかったな」
あーぁ、また不機嫌になっちゃった。
テレビや雑誌の中ではあんなにニコニコしてるくせに、プライベートは9割不機嫌だなんて、ファンが知ったら悲しむんじゃなかろうか。
いらないって言ってたけど、芸能人って大変なお仕事だろうし、やっぱりご飯くらいはちゃんとしたもの食べた方がいいと思うんだけどなぁ。
ちらっと見た感じ、業務用かってくらい大きな冷蔵庫もあるみたいだし自炊には持ってこいなのに。
まぁ、もしかしたら私が食べてるのを見て食べたくなるかもしれないし。
ああ言ってたけど、一応作るだけ作っておくことにしよう。
本当にいらないならいらないで、私が次に持ち越せばいいんだし。