あなたと私の関係
「……雨宮さん?」
程なくしてお粥を作り終えた私は、食べやすいようにある程度冷ましてから雨宮さんの寝室へ。
ノックをしてももちろん返事はなく、恐る恐る部屋に入ると、ベッドの上でぐったりとした雨宮さんの姿。
睦月さんの差し入れを持っていったわりには冷えピタすらはってないし、不規則な呼吸音が聞こえてきて辛そう。
「………ん」
「あ、起こしちゃいましたか」
おでこに滲む汗をタオルで拭いて冷えピタを貼ると、ゆっくりと雨宮さんの目が開く。
「………睦月は」
「少し前に帰られました。雨宮さんのこと心配してましたよ」
「…………そうか」
ふぅ、と息を吐き出し、ゆっくりと瞬きする姿さえまるで何かの芸術作品のように綺麗で。
本人は熱で苦しんでいるのに不謹慎だよね。私の馬鹿。
「あの、お薬まだですよね?よかったらお粥作ったので、一口だけでも」
「いらないと、何度言えばいい?」
「……それはトラウマのせい、ですか?」
ぴくり、と眉が動く。
「………聞いたか」
「いえ、トラウマのせいで手料理恐怖症だってことしか」
「…そういうことだ。わかったら、早く下げろ」
お盆にのせて持ってきたお粥をちらりと見たかと思えば、こちらに背中を向けられてしまった。