あなたと私の関係
「…元気、出ました。味に関係なく、人の作ってくれたものってこんなに温かかったっけって、子供心に思ったんです。
次の日には見事に熱も下がりましてハイパー元気になったんですが、お薬だけじゃなく、あのおうどんのお陰だなって思いました」
「…病も気から、か」
「その通りです。食べ終わったあと、なんだか胸のあたりがぽかぽかしてきて、インフルエンザになんか負けるか〜!って思えてきて。
最初にそれ言い出した人すごいですよねってだけの話なんですけど」
「そうか」
「なので私、誰かの作ってくれたご飯には魔法がかかってるんだと思ってるんです。気持ちとか、思いとか、そういうのも調味料になってるんだなって」
自分で作ったご飯もまずくはないけれど、どこか少し物足りなくて。
お腹は満たされても心は満たされないような、そんな気持ちになる時がある。
「なので、もし少しでも気が向いたら食べてください。体調が悪い時は、尚更です」
「お前も魔法、かけれるのか」
「…まだまだひよっこなので多少ですけど。あ、でも本当に無理にとはいいません。誰にでも嫌なことはありますし」
トラウマって、何があったんですか?
そう聞こうとして、言葉を飲み込んだ。
興味本位でそんなプライベートなことを聞いちゃいけない気がして。