あなたと私の関係
くい、と雨宮さんが顎で指した先には私が作ったお粥。
「お前みたいな小娘には薬を盛る度胸すらないだろう。だから、味見くらいはしてやる」
「違うんです!私本当に無理に食べてもらおうとこんな話したわけじゃなくて」
「いいから早く寄越せと言ってるだろう。俺は早く寝たいんだ」
うぅ。
そう言われたら仕方ない。
おずおずと差し出すと、まずはゆっくりと一口。
「……………」
「あの、口に合わなかったら残していただいて本当に大丈夫ですので…」
味見くらいはって言うから一口で終わるのかと思いきや、無言で食べ続ける雨宮さんの姿に少し心配になり声をかけるも、その手は止まることはなく。
「ご馳走様」
あっという間に空っぽになった器には、ご飯粒一つ残っていない。
「………魔法も、悪くないな」
お薬を飲んだ雨宮さんは、最後にそう呟いたかと思えばすぐに寝息を立てて。
同居を初めて約3週間。
初めて自分以外が空っぽにした器を洗うことになった私。
洗い物をしていて、こんなに嬉しい気持ちになったこと、あったかな?
嬉しくて、ホッとして、でもなんだか少しだけむず痒いような。
雨宮さんが笑う度に、心臓のあたりがきゅっとなる。
それでいて、お父さんのおうどんの時とは少し違う温もりが広がっていく。
この感覚は、なんなのかな?