あなたと私の関係



ぐいぐいと引っ張られ、あっという間に舞台の上にあげられてしまった私。




周りには知らない部員の人たちがわらわらと集まってきて自己紹介やらで慌ただしく時間はすぎていき。





「お疲れ様、彩羽ちゃん」



「あ、ありがとうございます」




練習を終え校舎を出る頃にはすっかり空も暗くなってしまっていて、圭吾先輩から差し出されたポカリを受け取るのがやっとというくらい私はヘロヘロだった。





「いやー、初日なのにこんな長々とごめんね?疲れたでしょ」




「そうですね。慣れないことばかりでついていけなくて…はは」






夜道は危ないから、と成り行きで圭吾先輩と一緒に帰ることになった私は肩を並べて歩きながら苦笑いをこぼす。






「でも、面白い話でしょ?現代版シンデレラ」




確かに、脚本は面白い。




夫が亡くなり未亡人となってしまった主人公は嫁姑問題に苦しんでいて、ある日姑の留守中に夏祭りに出かける。そしてそこで出会った男性と恋落ちるという、ベースだけがシンデレラのオリジナル作品。



一通り台本を読んでみたけど、これは演じきれたら楽しそうだとは思う、が。




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