あなたと私の関係
大人は、ずるい。
雨宮さんは、ずるい。
私はこんなにどきどきして死んじゃいそうなのに、当の本人はケラケラといたずらが成功した子供みたいに笑って。
「本当にお前は、からかい甲斐があるな」
私の気も知らないで、一人で楽しんで。
「帰るか」
ほらまた。
そうやってまるでペットの犬を撫でるみたいに私の頭に手を置いて、くしゃくしゃと掻き回してからハンドルを握るから。
これが恋かは分からない。
雨宮さんが好きかなんて、分からない。
でも、ただ一つ知っているのは、その手にいつも助けられているということ。
あの日も、今日も、いつだって。
私の手を引く大きな手が、くしゃりと髪をほぐす骨ばった指先が
いつだってそばにあるこの毎日が。
どうしようもなく居心地が良くて、それでいてどきどきして、くすぐったくて。
あなたの帰りを待つ日々が、嫌いじゃないのです。