あなたと私の関係
広すぎるエントランスホールの中心にはなにやら高そうなお花が飾ってあって、もちろん清掃も行き届いている。
ホテルみたいなエレベーターに乗り込み、最上階の33階のボタンを押すと独特の浮遊感。
緊張も不安も相まってなんだか本当に吐きそう…。
心臓はバクバクいってるし、夏だっていうのに何だか指先も冷えてきたし、本当に小心者だなぁ私。
ノミの心臓を抱えた私はあっという間に最上階に着いてしまったエスカレーターを降り、3305号室を目指す。
3303、3304…あ、あった。表札は出てないけど、ここだ。
って、角部屋ですか。最上階の角部屋。なんていいところにお住まいなんですか。
広すぎる廊下を歩き、たどり着いた1番奥の部屋。
深呼吸を一つして、本日3度目のチャイムを鳴らした私。
ーーーガチャッ!
「っ、わ!」
今度はチャイムがなり終わる前に勢いよく開いたドア。
びっくりして少し後ずさりした私の目の前には、男の人。
「……………入れ」
それもめちゃくちゃ不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、恐ろしく低い声でそういったかと思えばさっさと部屋の奥へと消えていってしまう。
お、男の人、だったよね?
百瀬亜弥さんは?もしかして、本当に部屋間違えた?
でも間違えてたら入れてくれないよね?あれ?