あなたと私の関係



「雨宮さんは、好きってどういう事だと思いますか?」



一通りやり終えた後、まだ頬を赤く染めたままの小娘が冷蔵庫にお茶を取りに席を立った俺に聞く。




「はあ?」




「私初恋すらまだなので、そこからもうよく分からなくって。人生の先輩でもある雨宮さんならなにかヒントをくれるのではないかと…」



「馬鹿か。そんなこと俺に聞く前に少女漫画でも読んでろ」



「えぇ、そんなぁ」



第一そんなもの人に聞いて分かるものなのか、と言いかけてやめた。




「……試してみるか」



「へ?」




笑ったり、怒ったり、口を尖らせてわざとらしく拗ねて見せたり。



泣いて目をはらしていたかと思えば、ドヤ顔で料理を並べたり。




この犬はコロコロと表情が変わるから見ていて飽きない。




もっと、もっと。




新しい顔を見せて、俺の毎日に時たまポツリポツリと浮かんでいる暇を潰してくれさえすればいい。




「試すってなにを…っ、きゃあ!?」



振り返ろうとした小さな背中をすかさず捕まえて、首筋に顔を埋める。




今日も今日とて、同じシャンプーの匂いに相変わらずどきりとさせられた。




小娘のくせに、生意気だ。





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