あなたと私の関係
カチコチと壁掛け時計の音だけが響くリビングで、1回り以上年下の小娘を許可なしに抱く、俺。
今ここで悲鳴でもあげられたもんなら明日の新聞の一面は俺で決まりだな。
雨宮綾、秘密の同棲生活
お相手はなんと女子高生!?
…なんて。
睦月にでもバレたら吊るされてもおかしくないな。
自分でやったくせに少しハラハラしている俺を知ってか知らずか、腕の中の犬はピクリとも動かない。
「彩羽」
「ひ」
あまりにも微動だにしないものだから、心配になって声をかけると素っ頓狂な声が上がって安心する。
今までにない新鮮な反応ばかり返ってくるのが面白くて。
俺の一言一句、一挙一動に振り回されている様が楽しくて。
「…好きだ、彩羽」
まるで小学生みたいに気を引きたくて、いじめたくなる。
「…どうだ、何も感じんだろう。恋というのはもっと」
「……ないで…さい」
「あ?」
「からかわないでっ!!ください!!!」
勢いよく立ち上がった小娘はよく熟れたトマトみたいに耳まで真っ赤にして、涙目で俺を睨みつけた瞳にはうっすら涙が浮かんでいたように見えた。