あなたと私の関係
この間は俺が些細なことで機嫌を損ねていたが、今回は逆か。
なんだ、女子高生というのはよく分からん。
こんな冗談軽く受け流しておけばいいものを、なにに腹を立てている。
小娘はそのまま自室に閉じこもったかと思えば、姿を見せることはなく。
「……ちょっと綾。しわ」
「む」
翌朝。
いつものように迎えに来た睦月の車で現場に向かっている途中で指摘され、眉間に手をやり無理やり伸ばす。
「寝不足?」
「いや、違う。飼い犬に手を噛まれた」
「はぁ?」
あの後顔を合わせることは無かった。
部屋に声をかけにも言ったが「放っておいてください」の一点張りで、籠城されたまま朝を迎えた。
なにがそんなに気に食わなかったのか。
「睦月」
「なによ」
「女は友人レベルの男から好きだと言われたら腹が立つものなのか」
小娘にとって俺は友人でこそないものの同居人ではある分、同じくらいの立ち位置にはいると思うのだが。