あなたのことは絶対に好きになれない!
約束の土曜日。

同窓会を行うのはとある駅前の居酒屋で、時間は午後六時から。


私は五分前に店の前に到着するようにやって来た。



今日集まる人たちの名前は事前に亜水ちゃんから聞いてる。

でも……私はみんなのこと覚えてるけど、みんなは途中で転校した私のことなんか覚えてないだろうなぁ……と不安になる。


店員さんに、亜水ちゃんの名前で予約してあった個室へ案内してもらい、ゆっくりと個室の引き戸を開ける。


すると。


「久美香ー! 久し振りー!」

亜水ちゃんが元気良く声を掛けてくれてとりあえずホッとする。


しかも。


「わー! 久し振りだねー!」

「会いたかったよー!」

……他の皆も、私のこと覚えていてくれたみたい。
嬉しくて、思わず涙腺が緩みそうになる。



亜水ちゃん以外の皆と会うのは、私が転校して以来。
十五年以上振りに会う皆は、外見こそ変わっているものの、中身はあの頃の面影が凄くある。
当時の話なんかをしていると、まるでこの場所が小学生時代の教室に変わったみたい。


時折席替えをしながら会話を楽しんでいると、途中で一人の男の子が私の隣の座布団に腰をおろす。


「いやー、ほんとに久し振りだよなー」

「康太(こうた)くん!」

それは、席替えで何故かよく近くの席になっていた、今田 康太くんだった。
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