あなたのことは絶対に好きになれない!
「ところで久美香ちゃんは、今彼氏はいるの?」

ビールを飲みながら康太くんが私にそう尋ねてくる。


「うわ康太。久し振りに再会した久美香が綺麗になってるからって、さっそくナンパ?」

「ち、違う! よくある質問だろ! 亜水はいちいちそういうこと言うんだから!」

「久美香に彼氏はいないよお。だってこの子、未だに男が苦手なんだから」

「ああ。昔、上級生にいじめられてたもんな」


二人のそんな会話を聞きながら当時のことを思い出す。
確か、亜水ちゃんと康太くんには、オウスケくんにいじめられてることをよく話してたっけ。


そんな二人に私の恋愛の近況を話すことは恥ずかしいけど……。



「ええと。実はね、最近出来たんだ。彼氏」


私の発言に、亜水ちゃんは「えーーー‼︎」と大袈裟なくらいに声をあげる。


「ど、どんな人⁉︎ あんた、あれだけ『男の人は苦手。恋愛は無理』って言っていたのに!」

「う、うん。そのはずだったんだけどね……」

興奮気味の亜水ちゃんとは対称的に、落ち着いた声で康太くんが「同じ会社の人?」と聞いてくる。


「うーん、まあ。同じ会社の人、かな?」

「何で疑問系なのよ」

「初めて出会ったのは会社じゃないから……」

「なになに、どういうこと?」

そこまで話して、私はようやく〝彼氏〟が誰なのかを話す。


「あのね。付き合ってるのはオウスケくんなの。二人とも覚えてる? 同じ小学校で、二つ上の学年の、早坂 央介くん」

私がそう言うと、二人は「え?」と声を揃え、黙り込む……急に暗い表情で。
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