あなたのことは絶対に好きになれない!
「きっ、気持ち悪い……」
お店を出た後、私は頭痛と目眩に襲われてしゃがみ込んでいた。
とてもまともに歩けそうにない。
「全く。社会人なんだから自分でちゃんとコントロールしながら飲まないと」
お店の看板に背を預けながら、オウスケくんが隣からそんなことを言ってくる。
確かにその通りだとは思うけど、オウスケくんが『もうちょっと飲め、もうちょっといける』って言って無理矢理飲ませてきたんじゃん!
「ダメ、歩けない……」
電車に乗れれば、駅まではお父さんがお迎えに来てくれるはず。
ここから駅までは近い。でも、その距離でさえも歩けそうにない。
それに、万が一電車の中で吐いてしまったら……と考えてしまう。
すると。
「仕方ない。少し酔いをさましてから電車乗ろう」
そう言って、彼は私の肩を支えながら、ゆっくりと歩いてくれる。
男性に触れられるのが苦手な私だけど、さすがに今ばかりは有り難かった。
酔いを醒ますため、と言いながら彼がやって来たのは近くの公園だった。
現在、おそらく二十一時を少し回った頃だろう。
灯りも殆どないため、辺りに人の気配はない。
薄暗い公園に二人で足を踏み入れ、入り口付近のベンチに腰掛けるように言われた。
頬に当たる夜風が気持ち良い……。