桐谷高校殺人投票
☆☆☆

大和はずっと心配そうな表情を浮かべていたけれど、あたしは投票用紙に真奈美の名前を書いて木箱へ入れた。


みんな、黙々と投票をしている。


「これで全員?」


彩が教卓の前に立ってそう言った時、真奈美が動いていない事に気が付いた。


「真奈美、投票して」


彩の言葉にも反応しない。


机の上に置かれている投票用紙は白紙のままだった。


あたしは時計へ視線を向けた。


本来なら、まだ20分ほど話し合いの時間が残っている。


「いい加減諦めたら?」


動こうとしない真奈美に彩がため息まじりにそう言った。


その時だった。


真奈美が立ち上がったと思ったら、次の瞬間教室から駆け出していたのだ。


あたしは咄嗟に追いかけようとして立ち上がった。


けれど、足が動かない。
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