桐谷高校殺人投票
「それで、結局2人は同じ黄組になって、あたしが紅組に変更になったんだよ」


そう言ったのは里子だった。


少し頬を膨らませながらも、懐かしそうに目を細めている。


「そうだったよねぇ。ごめんね里子」


あたしは手を合わせて里子に謝った。


「でも懐かしいね」


里子はそう言って、あたしの隣に座った。


「懐かしい話と言えば、小学校3年生の時の遠足。お前ら覚えてる?」


教室の後方の席に座っていた裕司が振り向いてそう聞いて来た。


「あぁ! 途中からひどい雨になったときのか?」


大和が言うと、あたしもその時の事を思い出した。


島に唯一残っている小さな工場の見学へ行く遠足だった。


4月の暖かな日差しの中歩いて行ったのはいいけれど、帰る時間になると途端に雲行きが怪しくなり始めたんだ。
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