桐谷高校殺人投票
☆☆☆

こんな時でも彩は1人で机に座り、雑誌を広げて読んでいた。


マイペースというより、もうこの状況を受け入れてしまったように見える。


それはとても悲しいことでもあった。


晴哉のように一生懸命抵抗する姿も見せず、いつも通りだ。


「梨央、大丈夫だったか?」


裕司が梨央へ向けてそう聞いた。


「平気。手を振りはらわれただけだし。でも……裕司まで壊れたりしないでね? みんなをまとめてくれてる裕司までいなくなったら、あたしとてもやっていけないよ」


梨央がそう言い、裕司の手を握りしめた。


裕司は少しだけ頬を赤らめている。


2人の距離感に一瞬疑問を感じた。


この2人はいつからこんなに近い距離になったんだろう?


梨央はずっと悠と付き合っていたし、2人が一緒にいる姿はあまり見ていない気がする。


「ちょっと、モニター!」


1人で雑誌を読んでいた彩が突然声を上げた。
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